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「とりあえず、早急に今のマンションを引き払って、住み込みでもいいから仕事探そうかなって。
・・・学校も春休みに入り次第、退学する」
「え~!なんで彩がそこまでする必要があるの!?伯父さんの所に住ませてもらえばいいんじゃないの?」
「うん、伯父さん達もそうしろって言ってくれてるんだけどね・・・。
今回の事は伯父さん達にも大変な事だっただろうし、これ以上迷惑はかけられないよ」
「まぁ、彩はそう言うと思ってたよ。そこでいきなりの提案なんだけどさ、・・・上京しない?」
「え!?」
全員の視線が一気に遼へ向けられた。
「正直、今の段階で東京へ行って通用するか解らない。
でも・・・1年前、ギターがいなくてバンドの活動がろくに出来ない不安な状態の中、それでも思い切ってここに越して来て・・・彩に出逢えたんだ。
・・・無謀を承知で上京する価値はあると思う」
遼の目は真剣だった。
部屋の中はしばらく沈黙の時間が流れる。
東京へ行くか・・・。
「いいんじゃねぇの・・・。こういう状況の中でいつまでもここに留まる理由はねぇし。
どうせ遅かれ早かれ上京すんだ。それにお前の事だし、口では来年とか言ってても本当は今すぐにでも上京したかったんだろ?」
最初に沈黙を破ったのは和真だった。
「俺もそれでもいいけど、彩は・・・、本当にいいの?」
最後まで黙っていたボクに、瑛哉が心配そうに聞いた。
ボクの答えは最初から決まっている。
顔を上げて皆に微笑んだ。
「行こうよ、東京に。夢を叶えにさ!」
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