夢に向かって

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「とりあえず、必要な物はこんなもんかな?大分スッキリしたね」 立ち上がって、物が少なくなった自分の部屋を見回してみる。 こんなに広かったのかぁ。 「後は和真が戻ってくるのを待つだけだね、何時頃に来るの?」 「う~ん、多分あと30分くらいで着くんじゃないかな?」 「あ、じゃあさ・・・。俺ちょっと店行って来てもいい?店長に挨拶したい!」 部屋に戻って来た瑛哉が遼に言う。 「いいよ。あまり遅くならなければ」 「うん、解った!じゃあちょっと行って来る!!」 嬉しそうに頷いて、瑛哉は駆け足で部屋を出て行った。 「本当仲良いなぁ、瑛哉と幹本さんは。・・・今日で最後だもんね」 瑛哉が出て行った方向を見つめながら、始めて瑛哉と逢った日の事を思い出す。 幹本さんの店に新しく入ったバイトの子と一緒に上京するなんて、その時は考えもしていなかったのに。 「そうだね。1年しか居なかったけど、とても良い街だよ此処は・・・。俺達にとっては第2の故郷かな」 「名残惜しくなった?」 「あはは、ちょっとね」 遼は部屋の窓を開け、春が近づき始めた外の景色を眩しそうに眺めた。 口ではそう言ってても、きっと今の遼の視線に映っているのは、こんな片田舎の風景じゃなくて、もっと別な・・・。 きっとこれからのボク達の目指すべき場所が広がっているんだろうな。 それは多分、生まれ故郷からここへ越してくる時からずっと頭に思い描いている光景。 遼の横顔を見ながらそんな事を考えていると、突然携帯が鳴り出した。 和真からのメールだ。 「和真、今下にいるって。先にボクの荷物積んじゃおうか」 「あ、思ったより早かったね」 ボクと遼は適当な荷物を数個ずつ持って下に降りた。
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