108人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
「・・・初めて来た時から、此処はずっと変わらないよね」
店内をゆっくり見回しながら呟く。
扉を開けるといつも店中に煙草の煙が充満していて、その先にはマスターがいて・・・。
いつ来ても何も変わらない。
だから落ち着くのかな・・・。
「なんだよ、急に」
「なんとなく、そう思ってみただけ」
そのまま椅子から立ち上がって、まっすぐ出口へと向かう。
「帰るのか?何しに来たんだよ」
「理由も無く来ちゃ駄目なの?」
「駄目。営業妨害」
営業らしい営業してないじゃん。
本当はもうちょっとゆっくりしたいんだけど、あまり長くいると別れが辛いから・・・。
「ねぇ、マスター・・・」
「ん?」
「いや、何でも無い。じゃあね!」
慌ててマスターに手を振って、そのまま足早に家へと戻った。
・・・今までありがとう、マスター。
最初のコメントを投稿しよう!