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駅の構内は数人いるだけでひっそりとしていた。
空いてるベンチに座って電車を待つ。
・・・皆、きっと怒るだろうな。
それは当然だ。
でももう後戻りは出来ない、進むしかないんだ。
「・・・?」
いつものようにピックを持とうとしたら、指が震えて上手くいかない・・・。
何故?不安なんて無いと思ってたのに、何を今更。
・・・いや、上京を決めたあの日から、わざと考えないようにしてただけ。
本当に上京して、まったく知らない地で4人だけでやっていけるんだろうか?
プロになれなかったら?
でも、もうこの地にいる事は出来ない・・・。
込み上げる不安に耐えきれなくなったボクは、荷物を抱えて俯いた。
「・・・おい」
突然鼻を過ぎった煙草の匂い。
そして、小さい頃から聞いてきた、聞き間違える筈の無い声。
そんな、まさか・・・!
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