夢に向かって

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「マスター・・・」 「簡単に諦めて帰ってくんじゃねぇぞ」 「・・・うん!」 渡されたギターをしっかりと握り、強く頷いてみせた。 『まもなく、2番線に電車が入ります・・・』 構内にアナウンスが鳴り響き、電車がゆっくりと姿を現す。 「ほら、行け」 「うん」 ボクにはもう迷いは無かった。 簡単に帰ってくるなって事はさ、つまり・・・。 「・・・マスター!有難う!!」 動き出した電車から顔を出し、離れていくマスターに聞こえるように大きな声で言った。 もう改札へと歩いていたマスターは、振り向きもせず片手を挙げる。 距離はみるみる内に離れ、すぐに姿は見えなくなった。 窓を閉め、ギターケースを開けると青いボディの真新しいギターが姿を見せる。 「有難う・・・、マスター・・・」 何度言っても感謝しきれない。 絶対プロになって、またここに帰ってくる。 だって、此処には待ってくれてる人がいるんだから・・・。
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