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「と、取り敢えず部屋に……」
勿論、目的地は自分の部屋。階段を登った後、直ぐ右へと曲がり、そのまま真っ直ぐ進むと僕の部屋──二階の一番端にある。
出入口は当たり前だが一つ。更に鍵も取り付けたからこの家で一番落ち着ける場所になっている。
「逃がさないわよーーーー!」
「ひぃっ!?」
直ぐ後ろで、恐ろしい義母さんの声が響く。
気を抜いたら部屋に着く前に捕まってしまうぞ、これ。
「絶対にイヤだぁぁぁーーーー!」
アレだけは阻止したい……絶対に避けないといけない!
「ふっ!」
何とか追い付かれる前に自分の部屋のドワノブに手を掛け回し、勢いよく開けると滑り込むように部屋へと入り鍵をかける。
「はぁはぁはぁ…………ふぅ」
何とか追い付かれる前に自分の部屋へと逃げ込むことに成功した僕は、息を切らしながらも一つ深い溜め息を吐き、扉を背もたれにズルズルと座り込む。
短い距離とは言え、全速力で走ったせいか、かなりの汗が額を伝い流れ出る。
「うえ……ベタベタしてきもちわるい……」
額だけじゃなく、洋服の中も沢山の汗をかいていてベタベタする。
これは着替えるしかないか……
「はぁ……」
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