始まりを告げる出来事

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殆んど最初ですね! のほほんとした雰囲気を漂わせながら、さらっと言ってのける杏樹さん。 鍵を閉めていたはずのに、何故入ってきているんだろう…… あれか? 今流行り(?)のピッキングってやつですか? 「ママは、ピッキングなんてしないわよ~」 「だよね~……で、手に持ってるのは何?」 杏樹さんが手に持っているのは、ピッキングツールではなく、ハートの型をしたキーホルダーが付いている鍵。 見間違える筈がない。あれは僕の部屋の鍵だ! 「もちろん。奏ちゃんの部屋の鍵よ~」 「やっぱり! って、何で杏樹さんが持ってるの!?」 「昨日、奏ちゃんの制服を取りに来たときにちょっと失敬したの」 それは立派な泥棒ですよ!? 「泥棒じゃないわよー。奏ちゃんが、無用心に机の上に置いてたのが悪いの」 全く、これっぽっちも悪びれた様子がない杏樹さん。 確かに、適当に置いていた僕の管理不足かもしれない。 「そうそう。奏ちゃんが悪いのよ~」 でも、だからと言って、勝手に持ち出していいのだろうか!? いや、良くないに決まっている。
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