始まりを告げる出来事

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今の世の中、個人のプライバシーは守るべきものなのです! 「や~ね~。家族なんだから、プライバシーも何も無いでしょ」 漆黒に染まる長い髪を靡かせ、爽やか100%の笑顔を振り撒きながら言い寄る杏樹さん。 この笑顔に何度騙されたことか……それほど、杏樹さんの笑顔は魅力的で、何かを引き寄せるものがある。 「奏ちゃんったら~。そんなに褒めても、何も出ないわよ~」 何を勘違いしたのか、頬を染めながらクネクネと体をクネらせ照れる杏樹さん。 「いやいやいや、褒めてないから…………って、あれ?」 勘違いしている杏樹さんに、一先ず突っ込んだ所で違和感に気付いた。 僕は、杏樹さんが部屋に侵入……もとい、入って来てからあまり喋っていない。どちらかと言うと、言葉に出さず、頭の中で考えていた方が殆んどだ。 なのに、普通に会話していたかのように、杏樹さんから返事が返ってくる。 「それはね~、奏ちゃんが分かりやすいからよ~」 また返事が返って来たっ!? 「それは、あれですか? 俗に言う、『顔に書いてる』とか……」 「そんなんじゃないわよ~。奏ちゃんの心を読むなんて簡単簡単~、ってこと」
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