始まりを告げる出来事

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「…………ふぅ、今日も良い天気だなー」 「こらこらこら。明後日の方角を見ながら、なに黄昏てるのよ」 「だって……ねぇ?」 「奏ちゃん、誰に聞いてるの?」 まぁ、誰に問いかけてるのかは置いといて。 全く現実味のない、杏樹さんの言葉を、そう易々と鵜呑みにするわけがない。 人の心を読むことなんて、神様でない限り出来るわけがない。 「冗談よ冗談~♪ 人の心なんて分かんないわよ~…………半分はね」 後半の方は声が小さくてよく聞こえなかったが、気にすることじゃないだろう。 ともかく、今一番大事な事は、この状況から如何にして逃げるか……それが問題だ。 唯一の逃げ道である、この部屋の出入口は杏樹さんと言う不滅の悪魔……もとい、女神様を突破しないと辿り着けない。 他に、脱出経路は一つ。クローゼットとベッドの近くにある窓から飛び降りる。 さて、どうしよう…… 選択肢は2つ。 一つ目は、どうにかして杏樹さんを突破し、一階の居間まで逃げて制服に着替える。 二つ目は、一か八かで窓から飛び降りる。 想像してみよう。
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