始まりを告げる出来事

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まず一つ目の場合。 ①どうにかして、杏樹さんの気を逸らせる。 ②その隙に杏樹さんの横をすり抜け、出入口へとダッシュ。 ③気を逸らす事に失敗し、杏樹さんに捕まる。 …………次だ、次! 気を取り直して二つ目の場合。 ①一番近い、クローゼットの窓を勢いよく開ける。 ②窓から身を乗り出し、地面に向かって勢いよくジャンプ。 ③着地失敗で骨折。 …………駄目だ。どんな事をしても、失敗のイメージしか浮かばない。 安全性で行くなら、一つ目だろう。問題は、どうやって気を逸らすか…… 何か良い手は……あった! あるじゃないか! 杏樹さんには、堪らない(だろう)逸品……二度と見ることがないようにと、クローゼットの奥深くに封印した物。 本当は捨てようと思っていたが、もしもの時に取っておいた物が、まさか役立つとは思わなかったが…… 「これで──」 数枚の平べったい物を素早く取り出し、杏樹さんがそれが何か分かるように宙へと投げる。 「どうだっ!」 「そっ、それはっ!!」
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