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対杏樹さん用秘密兵器。それは――
「メイド服を着ている奏ちゃんの写真!!」
中学三年の時、最後の文化祭の喫茶店で、ピンク色のフリルが沢山付いているメイド服を無理矢理着せられ、気付かずに撮られた写真。
出回る前に全て回収したので、僕以外誰も持っていないレア(?)物。
もちろん、ネガも忘れずに回収している。
「はうわ~! レア物だよ!」
僕の思惑通り。杏樹さんは、無我夢中で散らばっている写真を一枚一枚確認しながら拾い始める。
その顔は爛々と光輝いていて、とても幸せそうな杏樹さん。
「このメイド服似合ってる~♪ こっちも……わっ、着替えの写真までっ!!」
この場を逃げ出すのは今しかない!
杏樹さんに気付かれないよう足を忍ばせ、ゆっくり一歩ずつ出口へと向かう。
扉まであと数センチ……
横目で杏樹さんを見るが、写真に夢中で気付いていない。
「これ全部、奏ちゃん専用アルバムに追加しなきゃ!」
その怪しげな名前のアルバムは今度没収しよう!
と心に誓い、ドアノブに触れようとした……その時だった。
「おに~ちゃ~ん!」
「へっ……?」
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