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学校に着くと まず二人で向かう先は
陸のいるグランド。
いつものことなのに、頑張っている陸の姿を遠くから見て
一瞬 足が止まってしまった。
『侑莉?なーに固まってんだよ。行くぞ』
後ろから拓海に背中を叩かれて我に返る。
『お!陸の奴、ちゃんと真面目に練習してんじゃん。』
『ほんと!拓海、行こう。』
二人で練習をする陸の元へ駆け寄る。
『陸!』
何でなんだろう。
いつものことなのに、陸の振り向く姿にまで見とれてしまう。
『おはよう』って言って作ったおにぎりを手渡した。
拓海がしょっぱいなんて余計な事言うから、陸 食べる気失せたんじゃないかな。
朝の予鈴が鳴る間際、少し不安になった私は 陸の方を振り返り また彼の名前を呼んだ。
『陸!』
『ん?』
『美味しくなかったらごめんね。』
そう謝る私に陸は
『あぁ』
いつものあの優しい笑顔で私に笑いかけてくれた。
額の汗がキラキラしていて、背中の太陽がすごく似合ってた。
そして私は感じたんだ。
恋をする音を。
また おにぎり作ってあげようかな。
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