君の名

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  肌寒い1月の風の中 【仮病】と言う社会人がしてはいけないランキングトップ5に入りそうなことを俺は現在進行形で行っていた 『てか、仮病って今まで使ったことなかったな…』 そんなことを思いながら見上げる先には最新曲の順位を延々と発表し続ける街頭モニター 平日のせいか土日は人でごった返すこの場所も今はそれなりに静かだった 通りすぎる誰かが冷えきった手を擦りあわせるのを横目にかれこれ1時間近く俺はその場所にいた 端から見たらヤバい人にしか見えんだろうな…… 『そして、今週の第1位は!』 その言葉と同時に顔を上げる 『Miharuの新曲【LOVE ROCKET】!』 「………」 言い様のない胸の奥の感情を目を閉じるという行為で落ち着かせながら 俺はあの日の【思い】と【約束】と【愛】へと記憶を泳がせた 「三春……」 1度だけ その名を呟きながら……  
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