プロローグ

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これは、200年以上も戦の続く『妖国(ヨウゴク)』と呼ばれる世界の物語だ。   『妖国』とは、天武之国(テンブノクニ)、森守之国(シンシュノクニ)、学術之国(ガクジュツノクニ)、大工之国(ダイコウノクニ)、舞踊之国(ブヨウノクニ)、断崖之国(ダンガイノクニ)、黄金之国(オウゴンノクニ)、雪原之国(セツゲンノクニ)、港運之国(コウウンノクニ)、凛緑之国(リンリョクノクニ)、愛花之国(アイカノクニ)、遊戯之国(ユウギノクニ)、海王之国(カイオウノクニ)、江戸之国(エドノクニ)、月光之国(ゲッコウノクニ)、神皇之国(シンノウノクニ)の16国から成る世界のことだ。   各国にはそれぞれ国王がおり、その国を束ねている。しかし世は戦乱。各国が衝突し、支配力を高めようとしている。   この世界には『妖力(ヨウリョク)』というものが存在している。『妖力』は心の底にある邪悪な力のことを言い、『妖武器』と呼ばれる武器に『妖力』を付加させることでその力を発揮する。もちろん、各国の国王は強力な『妖力』を持っている。   そして『妖術(ヨウジュツ)』がある。『妖術』は妖力を使い様々な属性を持つ術を唱えることができる。国王や国王の側近には『妖術』を得意とする者もいる。しかし、『妖術』には禁じられた『禁術(キンジュツ)』が存在しており、『禁術』を復活させようと企む者がいるのも確かだ。     かの有名な学者、"アクエリウス・シーロンハウスト博士"は『妖武器』を調べるにつれ、あることを証明したと発表した。   「妖武器は所有者を選ぶ。性格はかなり気まぐれなうえ、下手をすれば所有者を飲み込む程の力を持っている。そして私も妖武器に選ばれた1人だ。妖力は争う心、憎む心が強ければ強いほど所有者の中に蓄積されていく。しかしこの世を戦乱の世にしては…」   しかし、シーロンハウスト博士は妖武器の実験で犠牲になった男の遺族の手によって射殺された。   妖武器は、人を、周りを狂わせるのには十分すぎる『兵器』だったのだ。     そしてこの物語は『妖刀』と呼ばれる妖武器に選ばれた1人の少年とその仲間の物語だ。
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