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「わかりました。」
僕は少し大きな声で返事をすると、タンスの中を漁り始めた。
さっきおばさんが言っていたように、女は裸である。
僕は女の裸を見るのは始めてだったけれど、別に嬉しくとも何ともなかった。
まあ当たり前だけど。
僕はまず、近くにあった布で女の体を隅々まで拭いた。
身体中に泥やら砂やらがついていたからだ。
吹き終わると、先ほど選んだ服を着せた。
女の服は構造が複雑で、なかなかうまく着せることが出来ない。
なんとか着せ終わった後、僕は異様な疲労感を覚えていた。
「ふう。」
小さくため息をつくと、僕は扉を開け部屋を後にした。
ふと聞こえた女の寝息は、僕のため息よりもか細かった。
「終わりました。」
「お疲れ様。さあ、クリームシチューを召し上がれ!」
「いただきます。」
食事の並べられたテーブルに着くと、スプーンでクリームシチューをすくい、口に入れた。
「どう?」
おばさんが席に着きながら尋ねる。
「美味しいです。」
そう言った僕だが、顔に笑みは浮かばない。
いや、正確には浮かべることが出来ない。
「ならいいわ!」
おばさんは満足そうに微笑むと、クリームシチューの皿を持って立ち上がった。
テーブルを離れると、おばさんの部屋と逆の部屋に入っていった。
「はーい、お待ちかねのご飯よ!」
向かった先は父の部屋だ。
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