初恋

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あれから数年 賑やかな繁華街から 少しばかり外れた場所に あの店は今も 営業中の札を出していた あの頃の面影も残して 間接照明の店内には BGMが流れ 今夜も嬌声が溢れている 何日か前 僕は彼女と別れ話をしていた 彼女の前にはやはり あのカクテルが… 「コークハイに少しだけ カルピスを落としてください」 僕の前にはチンザノ 彼女は言った 「あなたは いつも笑わない」 それが最後の彼女の言葉 その夜 僕は地球を抱いて眠った
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