ロンリコ

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「おまたせ」 彼女の掠れた声に振り向くと あの頃と同じ大きな瞳とぶつかった。 「いや 僕も今きたばかり」 「そう」 彼女との時間が 縮まった。 まるで つい昨日も飲んだみたいな気軽さで 僕のとなりに座り 「いつものね」 と マスターに声をかけた。 「えっ 貴方はここに⁉」 「いいえ あれからは…」 あの日以来 彼女を思い出すのが辛くて 僕の足は遠のいていたが その時間を瞬く間に 取り戻した。 ロンリコは 甘さと 熱さが隣り合わせの酒。 今日は 酒の熱さではなく 僕の熱さで彼女を酔わせる事にしよう。
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