ソルティドック

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仕事が終わり 会社から歩いて20分の道を急ぐ 姿を見たい 声を聞きたい ほとんど声を発さないけれど 時々マスターと話す彼 静かで 低いその声は ニニロッソの曲にのって まるで音楽の様に聞こえる からん 今度は常連客 マスターと彼に軽く頭を下げ 私のひとつ隣へ 「こんばんは お仕事お疲れ様 今日は随分賑やかだね」 「ええ」 「そのうち 場違いに気付くだろう」 その二人は 雰囲気にのまれ 口数が少なくなっていた 「おあいそ」 「ありがとうございます」 やっといつもの時間がもどる 流れるニニロッソ 氷の鳴く音 静かで低い彼の声 ソルティドックは強い酒 ウォッカをグレープフルーツで割ると ブルドックという名のカクテルだが それをスノースタイルにすると ソルティドックになる 煙草の香りの中で ちょっと大人の自分に 浸れるカクテル
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