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雪月花
その酒はまるで
水源から溢れるごとく
喉を潤していく
樽から柄杓で
次々と男達の手で汲まれ
練りで疲れた若衆に渡されていく
揃いの法被
揃いの手拭いを身に付け
町内の提灯に蝋燭を灯し
祭りがはじまる
旗を先頭に
ラッパを吹くもの
太鼓を叩くもの
かけ声と笛に彩どられ
練りの列が延々と続く
祝いの席が近付くと
行列が渦を巻き始めた
《おいしょ》
《やいしょ》
渦がだんだん小さくなり
まるで 台風の目の様に
畝ってゆく
《おいしょ》
《やいしょ》
襷人の笛で
畝が散る
樽が次々と割られ
雪月花を皆に配る
練りの後のざわめき
《ふぅぅっ》
《旨いなぁ》
《これがあるから 祭りも盛り上がる》
皆の喉が潤う頃には
水源は枯れる
また列をくみ
次の水源を目指し
練りが始まる…
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