🍸ちょっと酔い話🍸

初恋

時計が１８時をさす
そろそろ彼女が来る時間
カラン🎶
ドアが鳴る
いつも…
右からふたつめの止まり木
メンソールの煙草に火をつけ
頬づえをついて僕を見る
何も語らない
僕はコースターに
スケルトングラスをおく
｢ありがとう｣
彼女は一言だけ声をかけると
グラスに手をのばす
ウィスキーコークに少しだけ
カルピスを落とす
彼女しか呑まないカクテル
もう何年にもなる
二人だけの時間
特に何を語るわけではないけれど
二人の間の淡い時間
グラスが開くと
長い爪がカウンターを弾く
コンコン🎶
同じカクテルをまた
コースターにおく
今日はカルピスのかわりに
僕の切ない恋でも
落としてみようか…