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「さぁ、立ち話もなんですから家に入って下さい。どうぞ。」とドアを開けエスコートしてくれた。
「あ、有り難うございます。」
そうして、玄関に入ると右側に階段があり、正面の廊下の向こう側にはドアがあった。
キョロキョロしていると「こちらですよ。」と正面にある廊下をテクテクと歩いて行く。
そして、ドアを開けてもらうと、俺は息を呑んだ。
そこには、8人ぐらいが座れる長テーブルと椅子があり、キッチンもあった。
しかし俺はそれに驚いた訳ではない。
その奥にある大きな窓に映る景色に俺は驚いたのだ。
景色一面に菜の花と菫が広がっていた。
その黄色と薄紫色の何とも言えぬ色合いが混ざりあい、その素晴らしい景色を引き立てていた。
景色に目を奪われていると、
ヒューーーーと何かが沸騰する音がした。
「あぁ!忘れてた。」白髪のおじいちゃんは急ぎ足でキッチンの中に入って行った。
俺はする事もなくただ窓越しの景色と家の中を交互に見ていた。
家の中は、手作りの物が多かった。
長いテーブルや椅子。レンガで出来た暖炉や馬の木馬など。他には花の押し花やドライフラワーなどが飾られてある。
そんな事をしているうちに、微かに何の種類かは分からないが紅茶の一種であろう匂いがした。
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