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出逢った瞬間に走った、鮮烈にして痛切なる感覚。
こうして息をし、熱き血潮を巡らせている以上、当然それは生きていると謂う事なのだが、あの出逢いは例えるならば、まるで不意に一突きに刺し殺されたようだった。
そこに理屈は存在しない。一目で悟ったのだ。此の男こそが、今迄空虚で在り続けた彼の人生の、欠けていたそれなのだと。
知ってしまえば、墜ちていくのは急速で。気付けば、常に彼の姿を捜していた。
決して居る筈のない場所でも、一度も信じた事のない運命の女神とやらに、巡り合わせを求める程に。
視界に彼を捉えるだけで、言い知れぬ何かに満たされていくのを感じた。見ているだけで、存在を感じるだけで幸福だった。
あの時、言葉を交わしてしまう迄は。
そう、それは、稲妻の如き閃光。
黒く立ち込めたる雲間から急激に差した激しい光に息が止まり、甘い痺れが駆け巡った。
このまま空間ごと時が止まってしまえばいいと、男は無意識下で願った。
然し彼はその甘美なる刃の切っ先を、真っ直ぐに男へと向けた。
何故なのかは、解らなかった。
ただ、未だかつて見た事がない程に、彼が感情を露にしていたのが、酷く印象的だった。
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