sugar

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      「      !         !!」           彼が何と言ったのか、最早今となっては覚えていない。それでもその言葉が、今迄辛うじて男を繋ぎ止めていた錆びた鎖を断ち切ってしまった事だけは、確かだった。 再び男が自我を取り戻した時には、全ては終わっていた。 月の光を受けた収穫の金属は赤黒く煌めき、乾いた大地には不可思議な果実が転がっていた。その赤く瑞々しい果実をゆっくりと拾い上げ、男は思う。 嗚呼、これだ。これこそ、自分が求めていた物だったのだ、と。 誘う果肉に唇を寄せ、蜜を吸い上げる。砂糖のような甘さと果実の香りに、脳が震え、吐き気がした。             _
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