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「金出せ」
目の前にいる男はキョトンとしてこちらを見る。
残念ながらもうこの街では見慣れた風景だ。
カツアゲしている男は…
「いいから早く金出せ。
最低3万出したら許してやっから」
俺だ。
別になりたくてなった訳じゃない。
生きる為には、金が必要。
だけども
1、高校中退
2、親無し
3、名前不明
4、年齢不明
こんな得体のしれないガキを雇ってくれる所なんてある訳がない。
ましてや、そんな俺を人間扱いしてくれる社会はないと断言出来るであろう。
そんな俺に救いの手を延ばしてくれたのは、政府のオッサン。
路地裏に立派な段ボールハウスを建てていた俺を拾ってくれたオッサンだ。
だけど最近になって急に姿を現さなくなった。
んで、もうすぐ金が尽きるからこんな事してんだ。
「す、すみません……」
男が出したのは5000札。
カツアゲなんざ慣れているもんだから思わず睨み込んでしまう。
……ま、これで1週間は生きれるな。
「サンキュ。
じゃ、カツアゲされないように気をつけてねー」
俺が言えるような立場じゃないけど。
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