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「光夜はなんで、ピアノが弾けるの?」
椅子に大人しく座って俺が弾くのを聴いていた玉菊が、不意にそう言った。
「あー、俺の母さんがピアノ教室やってるから」
「へー……知らなかった」
「言ってなかったっけ」
「聞いてないよ」
チラリと横目で見たら、少し落ち込んだ様でうつ向いている。
一度手を止めて、玉菊お気に入りのジムノペディを弾き始めると彼女は顔を上げた。
その口角が少し嬉しそうに上がっているのを、俺は見逃さなかった。
「わかりやすい」
「むっ」
あ、少し怒った。
だけどホントにさぁ、
「わかりやすくて、可愛い」
「――――ッ!!」
素直な気持ちを口に出すと、真っ赤になった玉菊はスタスタと近寄ってきてバシッ!と俺の肩を叩いた。
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