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【君が居ない狂詩曲】
ちっちゃなあの子が何を考えているかなんて
僕に訊く権利は無かった
意地悪したり
嫌われるような事をしてみても
僕の横に居てくれてたあの子
いつも見つめてくれて、微笑んでくれたあの子
ある日、見に行ったら
いなかった
小さなあの子は何処
小さな足で
何処へ行った
なぜ
僕のもとへ来なかったの?
こんなに愛してるのに
僕は選ばれなかったの?
時を忘れるほど
一緒に居たのに
いつまでも僕だけを見つめてくれている
…と思ってた。
僕じゃなかったんだね
不思議に輝く瞳を持つあの子を僕から奪ったのは誰……
闇夜に飲まれたのは、
この景色なのか
僕の心の中なのか
探さなきゃ
朝 昼 晩
寒くなり、暑くなり
命が芽吹き
命が死にゆき
もうどれくらい季節が移ろいだ
探して
探して
こんな遠くまで来たよ
ここが何処なのかなんて分からない
匂いがした
あの子の香り
いるんだね
どこに
それは暗い森の木の下
彼女は…
捨ててありました
はぎ取られた衣服
むき出しの骨
骸、髑髏
肉すら、もう無い
あぁ、やっと見つけたよ。
抱き締めると
カラン
と、軽い音を立てて幾つかの骨が地面に落ちた
さぁ、おいで
僕の家へ帰ろう
一緒にねえ
もう絶対に、手放しはしないから
僕の可愛い…きみ
<完>
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