一生の宝物

『意識が戻ったのに集中治療室？』ずっとそれが頭から離れんやったけどいい方に考えてみんなと祝った。それから10日たった日の朝俺は親に泣きながら起こされた…それで親の口から息をひきとった事を聞いた…聞いた時一番最初に出た言葉が「嘘やろ？」それしか言えんかった…親はボロ泣きして部屋から出て行った…俺は涙が出んかった…『泣かないかん』一瞬そう思った…そう思った自分にムカついて窓を殴った…割れて飛び散った…そこで初めてもう二度と逢えない事に気づいた…涙が止まらんやった…ちょっとして友達に電話して事故現場に向かった…そこには缶コーヒーとタバコ,線香が置いてあった…それで嘘じゃない事が分かった…もしあそこでお前ひいたやつがおったら普通に殺しとったやろな。そこで友達にあいつの事ずっと好きやった事を言った…それからあいつと一緒に笑って遊んだ公園に行って煙草を吸って友達とぼーっとしとった…昼になっておばちゃんから電話が来た。「式場に連れて行く前に今家におるから逢いに来てやって？」そん時は涙出てなかったけど家に近づくにつれて涙が止まらんくなってきた…家に入った…和室に連れて行かれた…そこにはあいつが綺麗な顔して寝かしてあった…周りにメットとかお菓子とか置いてあった…最後に逢った時と何も変わらない…ただ頭に一つだけキティちゃんのカットバンが貼ってあるだけ…今にも笑い出しそう…話しかけそうだった…涙が溢れでた…声を出して泣いた…そこでおばちゃんから事故ってから一回も目を開けなかった事,みんなに心配かけたくなくてみんなに嘘をついていた事…脳内出血で植物状態になっていた事を聞いた…それからはまた事故現場に行って煙草を置いて線香を上げてきた…その日のうちに通夜に行った…凄い人数やった…式場の人もビックリしとった。それほどお前の人柄がよかったんやな…今まで俺が知る中で一番の人間やった…自分の悪いことは悪いて認めれる。人の事を絶対悪く言わん。棺桶に入っとる姿が見きらんでちらっと見て帰ろうかしたら友達につかまれて「最後っちゃけんちゃんと見てやれ」て言われてまた覗いた…もう涙は出らんて思ったけど溢れてきた…それが本当に最後やった…次の日の葬式の時間は事故現場に一人で立っていた…そこが一番近い気がしたから…