#おまけ③引っ越しの荷造りにて

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「ええ?」五十嵐はひどく弱々しい声を出した。  しかし、一つ咳ばらいして言葉をそえた。 「夏だ。すまない、失礼する」  彼は力強く言って、電話を切った。 「なにやってんの」  呆れたふうに眉をかいて彼女をぼんやりと見た。 「仕事の電話だったら、キレるよ」  その言葉と反対に、彼の準備が整っているので、三夜子はわざとらしく首を傾げた。 「うん?」  五十嵐は眼鏡の下から指を入れて、ため息をもらしながら、あきれきったようすで目頭をつまんだ。 「Have you finished packing?(荷造りは終わったの)」  心底あきれ果てたときは英語のほうが伝わると考えたらしい。五十嵐は両手をだらりと下ろし、脚のあいだの彼女に聞いた。  三夜子は眉をひそめ、彼に身をのりだした。
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