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爽やかな風と共に朝がやってきた。
四月七日。
その少女は十七歳になっていた。
その少女は汚らしい屋根裏部屋に住んでいた。
壁は板張りで、茶色く濁った色をしている。
焦げ茶色の古臭い床には時折ネズミが駆け抜けて行くが、少女は気にしていなかった。
天井は屋根の真下のため、斜めになっている。
その天井から蛍光灯がぶら下がっていた。
狭い部屋にベッドと低いテーブルだけがぽつんと置かれている。
小さな小窓からは朝の光が差し込み、ベッドの中央を照らしていた。
こんな部屋に十七の少女が住んでいるとは思えないほどこざっぱりとしていて、薄暗い所だった。
少女はまた夢を見ていた。
自分が土砂降りの雨の中立ち尽くしている夢。
そして“アイツ”が話しかけてきた。
ここの教会の神父である“アイツ”が。
少女はゆっくりと眼を開き、起き上がった。
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