第三夜 歓迎会

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マリアSide あっという間に時間は過ぎて、夜になった。 私の歓迎会とやらの準備で先生と生徒はどこかへ行ってしまった 静かな空間‥ 独りの教室‥ ボケーっとしていると、ガラッと扉を開ける音がした。 自然と目を向ける。 「‥あ」 私の隣に座っていたけど、居なくなった人だ。 えーっと‥、名前は‥。 「おい、そこの女」 「‥へっ?あ、はいっ!」 突然の事にびっくりして、体を大きく揺らした。 「この顔でも、お前は俺に話し掛けるか?」 長く黒い髪の毛、前髪も右半分は長い。 それを綺麗にかきあげる 「―っ!」 私は思わず動きを止めてしまった、どうしようも出来ない。 「‥醜いだろう?仕方ないよなぁ、俺は汚いから」 そうだ、この人名前はウォンだ 「私は変わらないよ」 「―!」 ウォンの右半分の顔は、赤く爛れていて包帯を取るとグジュグジュした皮膚が突っ張っている。 目は赤く、ギョロリと私を見つめているが時折ギョロギョロ動く 「絶対に変わらないか?」 徐々に近づくウォン、息が詰まってくる。 「‥汚いだろ?気持ち悪いだろ?何故罵らないっ!」 ガタンッと私が座って居た椅子を蹴り飛ばす。 「きゃっ!」 勢い良く尻餅をつき、後ろに倒れてしまった ゆっくりと私の上に跨がり、ニヤリと笑っている。 「マリア‥だったか?」 グッと私の顔にウォンの顔が近づく、私は息が出来なくなって来た。 「醜いだろ?ハハッ」 高らかに笑うウォンの顔に、私は気がついたら手を伸ばしていた 「っ、さ‥サワルナっ!」 ウォンはさっきとは打って変わり、泣き叫ぶ子供みたいになっている。 「ごめんなさい」 「っ‥ヤメ「止めない」 強く体を抱きしめると、始めは抵抗したがゆっくりと力を抜いて行くのが分かる。 「辛かったんだね‥、私に伝えたかったんでしょ?」 「‥」 「不謹慎だけど、今のウォンかわいいっ!」 「‥ふざけるな」 私が頭を撫でると、グイッと私を突き放した。 「友達になってよ、ウォン」 「それくらいなら、なってやっても良いぞ‥」 私は喜びまたウォンに抱き着いた、今度はクスッと小さく笑っただけですんだ。 「お前は凄いな、純粋で真っ直ぐで何より汚れを知らない」 その後、小さく照れた私の所にクラスメートが来て体育館に連行された。 そんな私をウォンが切なげに見ていた事なんてしらずに―‥。
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