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「そう警戒する必要はないよ、クライム・マリア」
低く男らしい声が部屋の中から聞こえた、私はゆっくりと足を動かす。
「…マリアは、小さい頃から変わって居ないね」
「…私、貴方の事分かりませんわ…」
隙間風で黒いスカートがヒラリと舞う、相手はクスッと笑い扉を閉める。
「そうだろうね、マリアの幼なじみだったんだよ」
手に持っていた荷物を持ってくれた。
私はしばし考えた―
でも幼い頃の記憶を思い出そうとした瞬間、頭がズキズキと痛み出した。
「(何なのこの痛み)」
私が顔を歪ませながら立っていると男の手が私の肩に触れた。
私はビクッと体を震わせるその瞬間、今まで蝋燭しか点いていなかった部屋に、電気が点いて息を飲んだ
「…マリア、紅茶を入れるからそこに座りなさい」
私は男に目をやって、心底驚いた。
赤みの強い髪の毛
燃えるような紅い目
整った綺麗な顔―…
身長が高く優しく微笑む男は最近読んだ本に出てた、《ヴァンパイア》の様だった。
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