第1章 風波を静める鳥

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彼女はそれを望んでいるのだろうか。 その表情は、とっておきの宝物の数をかぞえてでもいるかのよう。 白く透けるような頬は、たしかにその底に哀しみを抱えている。 しかし、いっさいを投げ出して自ら生命の道を閉ざすという、そうした弱さはどこにも見えないのだ。 いったい彼女は、その夜、その手のひらの星々にどういう思いを託しているのだろう。 そして星々はいま、彼女の口に含まれた。 ハルシオン。
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