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コンクリート製の大地。乱立した高層ビル。充満する二酸化炭素。蠢く生物。
灰色の街。
此処は随分豊かになった。
ここは随分貧しくなった。
朝を迎え昼が過ぎ夜が来る。
唯其れだけを繰り返す。
そんな日常。
平凡な日々。
今日もまた朝が来て。
大きな交差点を、多くの人間が行き交う。
人間の溢れる中で、ひとつーー異質を放っているその影が、虚ろな瞳で空を見上げている。
誰もそれに目を向けず、機械のように去って行くばかり。
切り離された時間が動き出した瞬間ーー
悲しみが、こぼれ出す。
灰色の雨と共に。
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