交錯

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 その日以来、オカリナ吹きは吹き続けました。  そこから動くことなく、ひたすら曲を奏でました。    時には激しい曲を。  時にはゆったりした曲を。  ある日は晴天の歌を。  ある日は豪雨の歌を。    それはまるで、一時の感情でした。  世界の心情でした。    それを聞いているものはいません。  それでも彼は吹き続けました。  吹いていられれば、ここにいられれば満足でした。    
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