君が私を忘れても…

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「お前は充分かわいいよ。俺にはさとみしかいないんだ。だから、自信持てよ!!お前のことを悪く言う奴がいたら、俺がそいつぶっ飛ばしてでも守ってやる」 「本当に?約束だからね」 「あぁ、約束する。絶対守ってやるから。…さとみ、目…閉じて…」 そう言った瞬間、仁の唇が私に触れた。 これが私のファーストキスだった。 嬉しくて泣いていたら、涙が止まらなくなってきた。 その様子に気づいた仁がまた、私を優しく抱きしめた。 こうして私達は付き合い始めた。 幸せな日々…。 友達からも祝福され、楽しい日々を過ごしていた。 そう…あんな事が起こるまでは…。 あんな事というのは、仁が記憶をなくしてしまった日の事…。 私と仁はいつものように一緒に帰るため、あの高台で待ち合わせをしていた。 私は部活が長引いたため、仁は先に向かった。 高台が見えると仁の姿を見つけた。 私は嬉しくて仁に声をかけた。 「仁!!今行くね」 「さとみ、慌てんなよ」 私は急いで仁の傍に行こうとした。 その時… 「!!!!!さとみ!!危ない」 「えっ!!」 一台の車が私めがけて突っ込んで来た。 私はその場から動けなくなった。 仁は私をかばってくれたが… キキィー!!ドンッ!! 仁の方が車にぶつかってしまった。 仁は道路に倒れたまま動かない。 よく見ると…ち…血だ!! しかも頭からの出血がかなりひどい!! 「いやだよ!!仁、しっかりして。ねぇ、目…開けてよ」 私は泣き叫んだ。 仁は救急車で病院に運ばれた。 そして直ちに緊急手術が行われた。 私は目の前が真っ暗になり、頭の中は真っ白だった。 唯一、目に映るのは『手術中』という赤いランプだけ。 私がボーっとしていると、仁のお父さんとお母さんが私の傍に来た。 「さとみちゃん、仁は?何があったの?」 「おばさん、仁が私をかばって車にぶつかったの。私これからどうしよう。仁…がいなく…なったら、どうし…よう」 「誰のせいでもないよ。仁は必ず生きるよ。大丈夫」 「で…でも、私が…いけない…の」 .
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