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冷たい風が静かに吹き、今まで暖かかった空気に冬の寒さを思い出させる。
「暖かいと思ったらいきなり寒くなりましたね。う゛ーさぶっ」
「こういう日は鍋とか食べたいですよネ。」
「あぁ!鍋いいですね!カカシさん、鍋にしましょうよ!」
「ええ、勿論良いですよ。鍋でしたら、俺、好きな店があるのでそこにしませんか?」
カカシがそう言うと、イルカは、意外だ!という顔をしている。
「意外ですか?」
「あっ、いえ。そういうわけでは…」
「ま、別に構いやしませんよ。…さ、行きましょう。」
カカシはイルカの手を引き歩き出した。
「その店って何て言う店なんですか?」
「“鈴蘭”ですヨ。俺、これでも常連なんです。」
「なっ…!?」
鈴蘭――何の変哲もない名前だが、全国に名前を馳せている高級料亭である。
イルカの給料では、とても常連、と言えるまで通うことができないのは言うまでもない。やはり、上忍。侮れない。
「そんな高級な店…いいんですか?」
申し訳ないと言っているような顔をしたイルカを見て、カカシは大丈夫ですヨ、と言う。
そうは言ったが、イルカは未だ申し訳なさそうな顔をしている。
でも、もう手を引いて歩いているから後戻りは出来るわけもないし、したくもない。
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