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「っ~!」
ちゅっ
「………!」
いきなり顔を両手で押さえられたと思ったら、イルカの顔が目の前にあり予想もしていなかった事態に思わず目を見開いてしまった。
イルカは、といえば顔を火照らせて恥ずかしそうにしていた。
「言いたかったことはっ…こーゆーことですっ!」
あーもー恥ずかしい!と、やけくそになった様子で、未だ呆然とイルカを見ている俺の視線に気付いているのか、目線だけそっぽに向けて残り少ない鍋の具をイルカの皿と俺の皿とに取り分けている。
「いつまでそんな顔してんですかっ。もう行かなくちゃいけないんですよ!」
そうだ、そうだった。イルカは、今夜、これからクリスマスプレゼントをアカデミーの生徒の所へ配らなければならなく、自分もそれを手伝うと無理を言って許してもらったのだ。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに~」
「うるさいですっ!」
ペロッと残りを平らげ、2人は再び外へと繰り出した。
集合は23時。22時30分を回ろうとしているところだ。
ゆっくりしている場合ではないので、少し駆け足気味でアカデミーへ向かった。
「ね、先生。配り終わったら俺が良いところ連れてってあげます」
「良いところですか?…怪しいところは嫌ですからね」
「ちがうちがうっ…きっとびっくりしますよ」
「じゃあ、楽しみにしてます」
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