第壱譚「始動」

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青年が脚を踏み入れた市街地はかなりの規模で、通路も6m程度の広さでなにやら四足歩行の生き物や人が行き交っていた 行き交う人々の服装は青年から言わせれば「何百年」も前の服装、中世ヨーロッパのような服装をした市民は青年が珍しいのだろう時折視線を寄越してくる   「まずは情報集め、からだよなァ」   自分に向けられている視線に鬱陶しそうにしながらも身近な一人の初老の女性に声を掛けた   「すいません、此処の街に図書館或いはソレに似たような場所はありますか?」 不信がられる事を考えてだろう、自分の出せる一番温和な声で話し掛けた 「……それならこの道を真っ直ぐ行くと図書館があるよ」 それが良かったのかは果たして不明だが女性は如何にも「疑っています」と言った表情ではあったが道を教えてくれた   青年は軽く初老の女性に頭を下げると教えられた道を真っ直ぐに歩き出した、顎に手を当て思考に耽り始めた青年は器用にも行き交う人々にぶつからない様に歩を進める   ―WTSの暴走など有るのだろうか、一度もそんな話は聞いたことがない― そんなことを考えながら青年は図書館入り口へとたどり着いた
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