Ⅰ.鏡の国から

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「孤児である、一介のたかが彫刻家ふぜいのお前を、城のお抱えにしてやったのだ。それが姫を愚弄するとは何事だ!」 カノンは城を、町を追放されました。その罰に、彫刻家の命である両腕を切り落とされて。 アリアは心を引き裂かれました。それは誰あろうアリア自身の手によって。 際限なき美への探求心は、愛することをも許さないのか?私が信じているものには、本当にそれほどの価値があるのか? 「私は一体、何のために…私は…私は……」 アリアは狂ったように鏡を砕き割りました。その存在を消すためにか、それともそこに映る自分自身の存在を消そうとしたのか。 しかし瞬間、アリアは息をのみました。 からくも最期に美しく散っていく鏡の向こうには、これから先決して光を見ることはなかったであろう、カノンからの…鏡の国からの真実の言葉が、ただ静かに美しく存在していました。 アリアは慈しむように、光射す方へ心を寄せました。そしてそれに応えるように、鏡の国の真実は、傷ついたアリアの心へと優しく語りかけてきました。  
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