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-かめなし語り-
今日は、雨。
ボクの誕生日。
部活の予定は急遽キャンセルになったけど、俺は自主トレをしてた。
筋トレを終えて、何気なく見た携帯に入ってたメール。
ひと言、待ってる、と。
1時間以上前に届いてたそれに、慌てて電話をかける。
『…Turururu…』
出てくれ、と祈る気持ち。
自主トレの前に携帯を見とけばよかった。
アイツは怒ってるだろうか?
『…もしもし?かめ、終わった?』
なのに、電話口のそいつの声は、こっちが拍子抜けするくらい明るいもの。
「あ、あぁ…悪ぃ…いま、どこ?」
機嫌を窺うように聞けば、
『んー?教室で自主トレしてた』
ははっと笑う、明るい声。
「え、じんも?」
『おー。かめが頑張ってんの見ながら』
ふっと見上げると、教室の窓からじんが手を振ってる。
「お前、趣味悪ぃー」
言いながらも上がる口角。
『はいはい、どうせ悪趣味ですよー』
電話で話しながら、おれはジャージのまま階段を駆け昇る。
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