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「っ…じんっ」
ガラッと勢いよく開けたドアの先には、電話を耳に当てたままのじんがいて。
「かーめ。そんなにおれに会いたかったの?」
実際に聞こえる声に、一瞬遅れる電話口からのそれがエコーのように重なって。
「ばっ//違、わ…ないけど…」
「ま、いっか。一緒に帰ろうぜ?」
ピッと電話を切って、着ていた体操着をバサッと脱ぐじん。
綺麗に鍛えられた、均整の取れた身体。
薄暗い教室は少し肌寒いのに、厚い胸板はうっすらと汗ばんで。
「ほら、お前も着替えろよ?」
同じ男なのに、なんでこうも違うんだろう、と。
ちょっと恥ずかしくなって、背を向けてジャージを脱いだ。
……さっさと着替えよ……
制服を詰めたカバンから、ワイシャツを引っ張り出して。
「かめ?」
すぐ背後から聞こえた、明らかにさっきとは違うじんの声色にドキッとした。
「……なに?」
平静を装っても、おれの身体はなかなか動かない。
「恥ずかしくなっちゃった?」
クスッと耳元で笑われて、寒さとは違う何かが肌を撫でる。
背中に感じる体温。
触れ合った素肌から、その早い鼓動までもが伝わって。
「~~~っ///」
何も言い返せなくなる。
「なーんて、意地悪したっ」
パァっと笑って、おれの頭をポンポンっと撫でる。
まるで子ども扱いされてるみたい。
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