賢治と民

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十分 裕福だった添島一家が姿を消した事を街の人達は不思議に思っていたが、親類なども固く口を閉ざし、一家の行方を知る者はいなかった。 賢治と民は、産まれたばかりの子供を抱き、仕事と住処を探し、転々としていた。 民の背中には先に産まれた清志が負ぶわれ、前には死んだはずの弟、寿士が抱かれていた。 一家は、この弟 寿士の産まれながらに背負った障害ゆえに 桐生を終われたのだ。
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