賢治と民

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民の家族を愛する想いは強く、たくましい。 想いが強すぎて賢治には時々 恐ろしく感じられる事さえある。 しかし それも 民の不幸な生い立ちにあるのだろう。 民は、貧乏な農家に産まれ父を早くに亡くした。 父の代わりに畑に出ていた母も病に倒れ、姉は身売りされ、民は まだ7才で機織り問屋に奉公に上がった。 それが賢治の生家である。 二人が恋に落ちた事を、何代もに渡って繁盛してきた添島の家の者がよく思わないのは当然だった。
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