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仕事を探しながら、いつか一家は東京まで来ていた。
やっとの思いで見つけた仕事は製材所の工員だった。
給金は安いが、住むところのない一家に工場から少し離れた所にある長家を貸してくれたのだ。
ここなら、しばらくは安心して暮らせそうである。
工場の主人や奥さんは、江戸っ子らしく、気前のいい、明るい夫婦で、何かと田舎出の二人を気遣ってくれる。
知り合いもなく、流れ者のようにして、さまよう二人には、涙がでるほど有り難い存在だ。
しかし、その分 付き合いが難しくなってくる…
「坊ちゃん達を連れて、ご飯を食べに来なさい。」
など、度々 言われて、断る理由を探すのに苦労する。
どうしても 子供を…寿士を見せるわけにはいかない。
それでも工場の奥さんは
「なら、ほら!これ…みんなで食べな!」
と言って土産を持たせてくれるのだ。
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