思い出

5/5
前へ
/7ページ
次へ
               あの時、“大好きだ”と何回も、何十回も、何百回も、君に伝わるまで叫べば良かった。                そうすれば、今、俺の横に君が居たかもしれない。                そうすれば、今、手を伸ばせば届く場所に居たかもしれない。                何度悔やんでももう戻らない。                いつか、君に会ったとき、“ああ、あの頃は”なんて笑い合えたらいいと思う。                あした、もし君に会えたら“大好きだったよ”と伝えられたらいいと思うんだ。                あの頃は、“思い出”として心にしまえたらいいと思うんだ。                夕暮れ色に染まる空を見ながら、俺は青色のベンチに座った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加