祖父のカメラ

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入学式から1週間余りが経ち、ようやく高校生活にも慣れたかなという頃、私はクラスで出来た友達に誘われるまま写真部に入ることにした。 本当は部活に興味はなかったのだがせっかく出来た友人の願いをむげにはできなかったのである。もっとも運動の得意でない私には写真部というのは向いているような気がしたし祖父からもらったカメラも都合が良いと思ったので嫌々ではなかったのだが。 ほどなくして私達は二人で写真部に入部届けを出し、自己紹介等を経て写真部の一員になった。 この写真部の活動内容というのはどうやらコンクールを目指したりするわけではないらしく、みんなで仲良く、部費を旅行費の足しにして旅行先の写真を撮るもののようだった。美術的な感性に疎い私にはこの方針はありがたかった。 私は自宅でこれなら続けられるな、と部屋の棚に飾ってあったカメラを丁寧に磨きながら、これからやってくるであろう青春の日々に胸をはずませたのだった。
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