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ガタン――ゴトン――。
揺れる汽車の中、彼――カザルスは目を覚ました。
――今、何時だ?
素朴な疑問は、喉の奥で消えた。
――…そうか…そうだよな。今は時間に追われる必要は無い。
「なァ、相棒?」
「キュキッ!」
兎にイタチを足して羽根を生やしたような動物が、彼のコートの襟元からするりと這い出る。
「キュキィ…」
くぁあ、と欠伸をすると、そのまま彼の膝の上に落下した。
「おいおい。俺を無視して寝るなよ…あんまりだろ、テンロ。」
生物、もといテンロは、すやすやと眠っている。
「チクショー…俺が寝てないからって…」
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