0-1章 リバル=ブリュード

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コップを置いて沈黙したリバルを横目に、ガイルは再び話し始めた。 「でも、皮肉なもんだよな…オレ達は戦争があるから食っていける。妻や娘を養うために、俺は軍というものに…いや、戦争に頼っている。」 ガイルはそう言うと、自嘲気味に苦笑いし、持っていたビールのグラスをテーブルに置いた。 「しかたないですよ…僕達みたいなのは戦うことしか能がないですから…」 リバルはそう言うと、カップの中に入っていた水を飲み干した。 そして、体をテーブルに預け、そのまま寝てしまった。 「お前みたいなのが戦争に駆り立てられるのも、戦争のせい…か。13歳の少年なのに、こんな戦争に出てくるなんて…」 ガイルは呟くと、離れ離れになっている娘の事を思い出す。 リバルと同い年で、まだまだあどけない年。 娘の心配がいつもガイルの頭のどこかをさまよっていた。 そんな娘とリバルがどうしても重なってしまう。 性別は違うが、年が同じリバルを見ると、どうしてもやり切れない気持ちになったこともあった。 ガイルはしばらくリバルを見ていると、黒い丸ぶち眼鏡をかけた20代後半くらいの女性が話しかけてきた。 「ちょっといいですか、第五軍長」 「ライトか。話してくれ」 ガイルはそう言うと、ライトは持っていた資料とともに話し始めた。 「魔族の軍…魔界軍が2日後に攻めてくる可能性が高いことが分かりました。反応は…S3です。確認を取ってみましたが、戦闘調査隊の連絡からは黒だそうです」 突然、デーブルが揺れた。 ガイルがテーブルを強くたたきつけたのだ。 「S…3…だと…!?前代未聞だぞ!!」
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