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「儂はお主が好きなのじゃ! だから付き合って欲しいと言っておるのじゃ! 儂がお主を嫌っておらぬのだから別に良いではないか!」
……耳が痛い。彼女のシャウトは廊下にこだまする。
百パーセント教室にも聞こえてるよ。
しょうがない。最後の手段だ。
「じゃあ俺の顔を良く見てみて」
どうだ! 幾多の女子を遠ざけてきたこの超キモ面は!
千年の恋も冷めるだろ。
ましてや、出会って数分だ。さっきは太陽とか影とかで顔が良く見えなかったんだろうが、今は違う。ばっちり、くっきり見えるはずだ。
彼女は俺の顔をまじまじと見つめる。
見つめる。
見つめる。
……もう止めて! 溶ける! そんなキラキラした瞳で見つめないでぇー!
彼女が顔を遠ざける。
そして呟くように言う。
「かっこいい」
開口一番に何言っとんじゃおんどれー!?
お世辞も大概にしてくれ。
何かい? 俺をナルシーにする計画でも始まってんのかい?
「俺、お世辞は嫌いなんだよね」
そう言って、去ろうとする俺のTシャツの袖を、彼女が掴んだ。
ぎゃあああああああ!!
なにしてんだてめー!
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