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「待ってくれ! お世辞などではない。これは儂の本心じゃ。お主はかっこいい。それに、それにお主は儂の運命の相手なんじゃ! だから! 付き合ってくれ」
「駄目だ! 絶対に駄目だ!」
俺はすかさず断る。
うぬぬ、と彼女はうなる。俺は掴まれたTシャツの袖を思い切り引っ張った。彼女は少し顔を歪ませる。しかし俺は気にしない。
それにしても、嘘も大概にしろ! それに運命の相手ってなんだ。こん畜生!
そんなに俺にナルシーロードを歩かせたいのか。
いいだろう。徹底的に否定してやる。
俺の十二年間をなめるな!
決意を固めた時に彼女が、その顔に似つかわしくない不敵な笑みをこぼした。
「理解したぞ。お主。もし、お主が儂の誘いを断ると言うのであれば儂はお主に抱きつく。しかも毎日だ!」
風が吹かない廊下。春の季節の暖かみはすでに訪れている。
しかしながら、しかしながら俺の体全身を駆け巡るこの寒気はなんだろう。
そして地震でもないのに視界がぶれるのは何故だろう。
ああ、そうか。
俺の足が震えてるのか。
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